いろいろな分野で活用されてきた優れた天然素材

古来より柿渋は、人々の生活の知恵として多方面に利用されてきました。

近年、化学製品の氾濫する中、一方では天然物志向が強く要望され、柿渋の存在が再び注目されています。

柿渋は、わが国では古くから竹、紙、漁網、布、木の補強剤、防腐剤、防水剤、塗料剤として使用されてきました。これは柿渋が容易に不溶性の強靱な皮膜を形成する性質を利用したものです。

また、民間薬として、やけど、しもやけ、血圧降下剤、二日酔予防として、さらに毒蛇、蜂、ムカデ等のタンパク毒の中和剤として広く用いられてきました。

最近では、柿渋のタンニンを利用して、化粧品素材、醗酵食品の徐タンパク剤、重金属の吸着剤、アルカロイドの吸着剤として天然柿渋が実用化されております。

柿渋タンニンの化学特性

青い未熟の渋柿をしぼり、発酵後2~5年熟成させた濃褐色の液体です。

お茶やワイン等にも含まれている渋味の成分これがタンニンです。

(柿渋タンニンは中でも特に高分子)

タンニンは植物に多く含まれており、害虫や気候条件から木・葉・実を守るためにあります。

柿渋を塗料として使用することで、防虫・防水・防腐・抗菌効果があります。

塗った色は薄褐色~濃褐色の艶のあるものとなります。

柿渋タンニンはカテキンガレート、ガロカテキンガレート、カテキン等の縮合体で分子量約15000前後の高分子縮合体で、多くのフェノール性のOHを有します。

柿渋タンニンの生理活性



タンパク質やアルカロイド類と強い結びつきをしめます。

酵素の抑制

酸化抑制効果

脂質過酸化の抑制

還元作用

抗菌作用

金属イオン、アルカロイド等をつくる沈殿とその可溶化

発癌、変異原物質の抑制作用

脱臭作用

柿渋